1.「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に対する取り組みについて
令和6年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」は、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持ち、自らの意思によって日常生活を営むことができる共生社会の実現の推進を目指したものである。
そこで、次の3点について、区長の所見を伺う。
①基本理念の一つである認知症に関する正しい知識及び認知症の人への正しい理解を深めるため、どのように取り組んでいくのか。
②「新しい認知症観(※1)」を踏まえ、今後の「台東区高齢者保健福祉計画」策定の方向性について伺う。
③「台東区高齢者保健福祉計画」に「本人ミーティング(※2)」の活用状況を含め、認知症の人や家族の意見をどのように反映させるのか。
※1 新しい認知症観
認知症になったら何もできなくなるのではなく、認知症になってからも、一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間等とつながりながら、希望を持って自分らしく暮らし続けることができるという考え方。
※2 本人ミーティング
主に認知症の当事者が中心となって、自身の経験や思い、希望を語りあう場のこと。
【区長答弁】
ご質問にお答えいたします。
認知症は誰もがなり得るという認識のもと、正しい知識や認知症の方に関する正しい理解を深めることは大変重要であると考えています。
このため、これまで取り組んできた認知症サポーター養成講座や講演会等に加え、本年12月に開始する「認知症検診」を一つの契機に、周知・啓発を強化いたします。
更により多くの方への理解促進を図るため、区内の高校における出張型 講座を拡充するなど、若い世代への取組みを重点的に行うとともに、区内企業への研修など様々な機会を捉え、広く理解を深めていただけるよう努めて参ります。
また、「新しい認知症観」に基づいた施策を展開していくことも重要です。
このため、今年度実施の「高齢者 実態調査」では認知症に関する質問項目を増やし、想定されるニーズや理解度について、把握に努めているところです。
今後ますます必要性が高まる認知症施策の充実を図るため次期の「高齢者 保健福祉計画」に併せて「認知症施策推進計画」を新たに策定いたします。
更に、認知症カフェにおける「本人ミーティング」では、当事者の悩みなどを打ち明ける機会であるため、まずは、参加者同士の良好な関係構築に努めているところです。
この活動で把握した当事者や家族のご意見等を分析し、新たに策定する計画に反映して参ります。
今後も安心して自分らしく暮らせるよう、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合える共生社会の実現に向け、全力で取り組んで参ります。
2.母子健康診査について
次の2点について、区長に伺う。
① 乳幼児健康診査について、未受診家庭に対する受診勧奨や個別支援は、どのように行っているのか。
② 小学校入学前の早い段階で発達の特性を把握して適切な支援を行うためには、5歳児健診の役割は大きいと考える。5歳児健診について、昨年の第1回定例会一般質問の答弁や事務事業評価では、「検討を進める」としているが、いつ実施するのか。
【台東保健所長答弁】
ご質問にお答えいたします。
まず、未受診家庭への対応についてです。
保健所での集団健診である3~4か月児健診、1歳6か月児健診、3歳児健診では、受診予定日に受診がなかったご家庭について、郵送や訪問等による受診勧奨を行っています。勧奨後も来所がない場合は、訪問等により養育の状況や発達の特性などの把握を行い、相談事業や保健師による継続的な支援につなげています。
また、医療機関に委託している健診については、おやこ手帳アプリのプッシュ通知を活用し、受診の勧奨に努めています。
次に、5歳児健診についてです。
5歳児健診の実施にあたっては、子供の発達などの特性を早期に発見し、適切な支援につなげることが重要です。そのため、結果を保護者に伝えるだけではなく、保健・医療・福祉・教育などの関係機関が連携して必要な支援を行う体制について、現在、調整を進めています。
また、国において、医師の診察対象について一定の緩和が図られ、専門的知識を持つ人材の確保を含め、実施体制に関して選択肢が広がりました。
こうした状況を踏まえ、健診の実施方法について、鋭意検討を進めて参ります。
3.公園について
①区は、公園整備の方向性を3つに分類しており、そのうち「再整備」では、公園の全面整備を行うことで、「新たな機能の導入」や「利用実態に沿った整備」を進めるとしている。
そこで、次の2点について、区長に伺う。
ア どのようなスケジュールで再整備を進めるのか。また、「利用実態に沿った整備」に関して、新たな役割を担う公園として再整備を検討した事例があるか。
イ 水遊びやボール遊びができる公園を整備すべきと考えるがどうか。
②今年度、隅田公園山谷堀広場で、試行として親子花火広場が行われ、多くの親子連れが花火を楽しんだ。このような機会がないと花火を楽しめないため、比較的大きな公園等で、定期的に展開していくべきと考えるがどうか、区長の所見を伺う。
③隅田公園リバーサイドギャラリーは、隅田公園内の地下に自転車駐輪場と併設されているため、あまり目立たず、既に築30年以上経過している。
そこで、大規模改修工事の際には、既存施設の改修をするのか、又は新たなビジョンがあるのか、区長の所見を伺う。
【土木担当部長答弁】
ご質問にお答えいたします。
まず、公園の整備についてです。
整備のスケジュールについては、経過年数や区民ニーズの高い機能の整備など、複数の観点から優先度を設定し、計画的に進めております。整備を実施する公園については、概ね3年毎の予定を公表し、取り組んで参ります
また、区では、利用者の年齢層に応じた役割を持つ公園に変更するなど、新たな役割を担う公園として、具体的な整備を進めています。子どもの利用が少ない千草公園では、近隣公園との棲み分けの観点や、利用実態に合わせるために、休憩と健康づくりの場として、今年度、設計を行っています。
次に、水遊びとボール遊びができる公園の整備についてです。
現在、区では公園の再整備にあたり、面積や周辺環境などの条件を十分に考慮し、水遊び施設やスポーツコーナーの導入を進めています。今年度は小島公園のスポーツコーナーが完成し、来年度には千束公園の水遊び施設が完成予定です。地域偏在の解消や設置条件を考慮し、今後も公園の再整備の機会を捉えて、水遊び施設やスポーツコーナーの整備を進めて参ります。
次に、公園の管理についてです。
区立公園は安全管理上、花火を原則禁止としていますが、花火を楽しみたいという要望に応え、試行的に親子花火広場を設けました。
多くの親子にご利用いただき、事故や苦情もなく終了しました。今回の結果や、周辺環境を踏まえ、今後の公園での花火の利用について検討して参ります。
次に、隅田公園リバーサイドギャラリーについてです。
委員ご指摘の通り、利用開始から31年が経過し、設備の劣化が進んでいる個所もあります。
将来的な大規模改修にあたっては、地域のまちづくりや、防災性の向上、新たなニーズへの対応など、様々な視点から研究を行い、魅力的な施設の整備につなげて参ります。
4.マンションの適正管理について
次の3点について、区長の所見を伺う。
①建物の老朽化や居住者の高齢化が進行しており、今後、管理不全に陥るマンションの増加が懸念される。
そこで、区は今後、どのように管理不全の予防や早期対応に取り組んでいくのか。
②区では、令和4年度から「マンション管理計画認定制度」を開始したが、制度が十分に認知されておらず、申請が増えていない。
そこで、区として、制度の定着と活用促進について、どのように取り組んでいくのか。
③「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」により、老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化を図るための新たな仕組みが導入されると聞いている。
こうした仕組みを活用してもらうため、区として、関係機関や管理組合とどのように連携し、区民が適切な対応ができる環境を整えていくのか。
【都市づくり部長答弁】
ご質問にお答えいたします。
まず、マンションの管理不全の予防や早期対応についてです。
委員ご指摘の通り、区内のマンションの中には建物の老朽化や居住者の高齢化が進行しているものがあり、適正に管理を行うことが重要であると認識をしています。
区では、管理不全のおそれがあるマンションを一定数把握しており、計画修繕調査費助成等の支援の案内や、マンション管理の専門家による現地調査等を実施しています。
今後は、区の管理組合登録制度や東京都の管理状況届出制度を活用し、管理実態を継続的に把握するとともに、課題が見られるマンションには、職員や専門家によるアウトリーチ型の啓発を強化し、早期の相談や助言につなげて参ります。
次に、マンション管理計画認定制度の定着と活用促進についてです。
この制度は、適切な管理計画を有するマンションを自治体が認定するもので、管理の適正化を図る上で重要な仕組みです。
区では、区公式ホームページやメールマガジン、チラシ送付により周知を行っており、今後は、広報紙や区有施設での掲示等も活用し、より広く制度の周知を図って参ります。
また、マンション管理セミナーにおいて制度の説明を行うほか、管理・相談員派遣の場で勉強会を実施するなど、管理組合の理解を深め、制度の定着を促進して参ります。
次に、改正マンション管理適正化法等への対応についてです。
改正法では、総会決議や建替え決議の要件緩和などにより、維持管理や建替えが円滑に進むことが期待されています。
区としましては、マンション管理の専門家団体と連携し、理事長等連絡会などを通じて改正法の内容を周知するとともに、区の管理組合登録制度に登録している場合は、ダイレクトメールにより制度の案内やパンフレットを配布し、適切な対応が図られるよう支援して参ります。
5.教員に対する指導・支援の充実について
教育委員会では、教員の指導や育成、専門性の向上などを目的として、様々な取組みを行っている。
そこで、指導課が行っている教員の指導・支援充実のための取組みに関し、次の2点について、教育長の所見を伺う。
① 指導課訪問において、各学校園における課題の解決に向けてどのように取り組んでいるのか。
② 若手教員育成研修の内容と、研修を受けた教員の変化について伺う。
【教育答弁(次長答弁)】
ご質問にお答えいたします。
まず、指導課訪問による各学校園における課題と解決に向けた取り組みについてです。
指導課訪問は、教育・保育に関する諸課題の解決に向けた指導・助言を行うとともに、学校園と教育委員会の一層の連携を図ることを目的として、定期的に実施しています。
その中で、学習指導上の課題については、授業や保育のねらいを達成するために、より効果的な学習展開や教材・教具の提示方法、学習環境の整備等、改善につながる指導・助言を行っています。
また、生活指導上の課題については、特別な配慮を要する児童生徒への個別的な支援方法や、組織的な対応策について、具体的な提案を行っています。
今後も、指導課訪問を単なる指導・助言の場とするのではなく、現場で直面している課題を共有しながら、共に解決策を検討し、学校園に寄り添った支援を継続して参ります。
次に、若手教員育成研修の内容と、研修を受けた教員の変化についてです。
本区では、初任者・新規採用教員、2・3年次教員を対象に、講義・演習、フィールドワーク等を取り入れた若手教員育成研修を実施しています。
具体的には、体罰や情報漏洩等の具体的な事例を活用した服務事故防止研修、研究授業や模擬授業等を通じた授業力向上研修、現地視察を通じた人権教育研修等を実施しています。
研修を修了した教員からは、教員としての自覚、やりがい、授業力の向上等、自身のスキルアップやキャリア形成に対する前向きな変化に関する報告を受けています。
今後も引き続き、学校園訪問や各種研修を通じて、教員に対する指導・支援の充実に取り組んで参ります。