1.令和2年度決算と来年度予算編成について
令和2年度は、通常と異なる決算年度であったが、令和2年度決算の総括と来年度予算編成に向けた決意について、区長に伺う。
【区長答弁】
小坂委員のご質問にお答えいたします。
まず、令和2年度決算についてです。
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の動向を見極めることが困難な中、感染症への対策や、区民生活・事業者への支援など、緊急に対応が必要な経費を中心に、計9回の補正予算を編成するなど、状況の変化に応じて対応を行いました。
また、中止や規模の縮小を余儀なくされた事業も多くありましたが、オンライン相談におけるICTの活用など、感染症対策を行った上での事業実施により、区民の健康や暮らしを守るための行政サ—ビスの維持に努めました。
次に、令和4年度予算編成についてです。予算編成にあたっては、持続可能な財政基盤を堅持しつつ、引き続き、安全安心な暮らしの確保を基本に、感染拡大防止と社会経済活動の活性化との調和を図っていく必要があります。
依然として、景気や感染症の動向は不透明であり、先行きを見通すことが困難な状況ですが、コロナ禍において生じた様々な課題の克服や地域経済の活性化に繋がる取組みなど、区民の皆様が希望を持てる予算となるよう、全力で取り組んで参ります。
2.契約事務について
次の3点について、区長に伺う。
①学校の給食調理業務委託や用務業務委託は、教育委員会で評価した上で、次年度以降も随意契約としている。
受託事業者が安定的に従事者を確保できるよう、単年度契約ではなく長期継続契約とすべきと考えるが、どうか。
②業者選定の方法には、「総合評価方式」や「プロポーザル方式」があるが、それぞれの採用基準はどのようになっているのか。
③いわゆるダンピング受注は、区が調達する物品や工事の質の低下を招くだけでなく、労働条件の悪化や事業者の健全な発展fを阻害する要因になっている。
そこで、「低入札価格調査制度」において、一定の価格を下回る入札を失格とする基準の設定について検討すべきと考えるが、どうか。
【区長答弁】
ご質問にお答えいたします。
まず、長期継続契約についてです。
委員ご指摘のとおり、役務の提供における長期継続契約については、安定的な業務提供が受けられるという利点があると、私も考えています。
給食調理業務委託などについては、どのような契約方法が最適なのか、引き続き、教育委員会と協議して参ります。
次に、「総合評価方式」と「プロポ—ザル方式」についてです。
「総合評価方式」は、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の基本理念に基づき、事業者の施工能力や地域への貢献度などを総合的に評価し、落札者を決定しています。
現在、法律の趣旨を踏まえ、区が発注する一部の工事案件において採用しています。
また、「プロポ—ザル方式」は、システム開発や、計画策定に伴う調査などで採用し、事業者からの提案を求め、その内容の優れた者を受注者として選定しています。
今後とも、両制度を効果的に活用し、適切な業者選定を行って参ります。
次に、「低入札価格調査制度」についてです。
この制度では、あらかじめ設定した基準価格を下回った場合に、契約の内容に適合した履行が可能かどうか、調査を行った上で契約を締結しています。
しかし、近年、その基準価格との乖離が大きい案件もみられることから、一定の価格を下回る入札を失格とする手法について、検討を進めて参ります。
3.特別養護老人ホームにおける指定管理委託料について
特別養護老人ホームの指定管理料は、「原則、基本協定に基づき、介護報酬等の収入で不足する分を補填する」と説明を受けているが、決算年度では、補填額が例年に比べて増加していた。
そこで、改めて、特別養護老人ホームに関する指定管理料を算出する根拠を区長に伺う。
【区長答弁】
ご質問にお答えいたします。
特別養護老人ホ—ムの指定管理料は、基本協定において、「施設の管理業務に要する経費は、原則として、利用料金及び介護報酬で賄い、不足する場合には、指定管理料を支払う。」としています。
具体的には、施設ごとに、都内の同種の施設状況などを参考にしながら、入居者の要介護度や、介護報酬の算定状況をもとに収入見込額を算出します。
あわせて、人件費及び食費、入居者の娯楽に係る費用、施設や設備の維持費用などにより支出見込額を算出し、支出が収入を上回る分を指定管理料としています。
また、令和2年度は、「特別養護老人ホ—ム浅草」の大規模改修による入居者移転や、新型コロナウイルス感染症の影響による介護報酬の減収などがあり、施設の安定的な運営に寄与するため、指定管理料を追加しました。
今後とも、適切に指定管理料を定めて参ります。
4.認知症支援の推進について
次の4点について、区長の所見を伺う。
① 新型コロナウイルスによリ、令和2年度に区が実施した認知症サポーター養成講座等の認知症支援事業へどのような影響があったか。
② 新型コロナウイルスによリ、平常時の認知症地域支援推進員の活動と、令和2年度における活動とでは、どのような相違があったのか。
また、国が認知症地域支援推進員の新たな役割として、認知症高齢者等が生きがいをもって生活することへの支援を追加したが、どのように認識しているか、併せて伺う。
③ 認知症初期集中支援チームにおける専門職・医師・関係機関等との連携の状況と今後の展開について伺う。
④ 各地域包括支援センターが実施する具体的な事業の内容は、どのような過程を経て、決めているのか。
また、若年性認知症支援事業を展開した経緯と、今後の事業の進め方について、併せて伺う。
【区長答弁】
ご質問にお答えいたします。
まず、認知症支援事業についてです。
区ではこれまで、認知症の方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、認知症サポーターの養成や認知症カフェなどの事業を行って参りました。
令和2年度の緊急事態宣言の発出中は、専門的な相談を除く全ての事業を中止しましたが、宣言解除後は、講座の参加人数抑制や予約制にするなどの感染対策を講じながら再開しました。
さらに、認知症サポ—ター養成講座については、オンラインで実施するなど、新たな実施手法で事業の推進に取組んでいます。
次に、認知症地域支援推進員についてです。
これまでも推進員は、地域包括支援センタ—の窓口で相談を受けるだけでなく、高齢者のご家庭に出向いて相談支援を行っています。
令和2年度は、訪問が制限される中で、電話や手紙により、ご本人やご家族の相談支援を続けました。
また、国が推進員に求めている、認知症の方が生きがいをもって生活するための支援については、そうした方々の地域活動への参加促進などに取組んで参ります。
次に、認知症初期集中支援チ—ムについてです。
この取組みでは、認知症の早期発見・対応として、地域包括支援センタ—の専門職が医師等と情報を共有し、訪問、支援方針の決定などを進めています。
今後は、これまでの事例検証を通じ、必要な見直しを行い、早期発見・対応をさらに推進して参ります。
次に、地域包括支援センターが取り組む事業と若年性認知症支援についてです。
各地域包括支援センターは、学識経験者や医療、介護、福祉等の関係団体の代表からなる「地域包括支援センター運営協議会」での協議を経て、区が示す運営方針に基づき、各センターが状況を踏まえて事業計画を策定し、運営しています。
また、若年性認知症支援については、本人の就労継続など、高齢者とは異なる課題の整理を行っており、一人ひとりにあった支援が行えるよう検討を続けて参ります。
5.区立図書館の運営及び機能について
次の2点について、教育長の所見を伺う。
① 新型コロナウイルスの影響がある中、令和2年度は図書館読書活動にどのように取り組んだのか。
また、次年度に向けて図書館読書活動をどのように展開していこうと考えているのか、併せて伺う。
② 本区の中央図書館は、貸出し中心のような施設になっている。また、中央図書館がある生涯学習センターは、開設から2年が経過し、図書館部分も含め、施設に求められる機能が変わってきていると考える。
そこで、生涯学習センターの施設機能の見直しを行い、中央図書館のスペースや機能を充実し、滞在型図書館としてリニューアルすべきと考えるが、どうか。
【教育長答弁】
ご質問にお答えをさせていただきます。
まず、令和2年度における図書館読書活動と今後の展開についてでございます。
令和2年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くのイベントが中止となったため、集客をしない新たな取り組みとして、動画配信による企画展の展示紹介のほか、図書館の短時間利用を促すため、子供向けのおすすめ本セットの貸出などを実施いたしました。
今年度につきましては、さらにオンラインを活用した読み聞かせボランティア養成講座などを4回実施したほか、中高生や一般向けのワークショップもオンラインで実施する予定でございます。
今後は、子供たちをはじめ、さらに多くの方に読書に興味を持っていただけるよう、オンラインを併用したイベントや講座の開催をはじめ、SNSを活用した情報発信やデジタルア—カイブの充実など、図書館運営に工夫をしながら取り組んでまいります。
次に、中央図書館のリニュ—アルについてでございます。
平成1年の生涯学習センタ—開設から20年が経過する中で、ICT技術の進展や新型コロナウイルス染症の拡大など、図書館を取り巻く環境は大きく変しております。
そのため、今まで以上に誰もが利用しやすい中央図書館の機能の見直しが求められていると認識をしております。
教育委員会といたしましては、今後、生涯学習セン夕—全体の施設機能を視野に入れながら、オンライン講座などICT技術を活用したサービスや、子供への読み聞かせができる環境の充実、障害者や中高生を象としたコ—ナ—の再配置など、中央図書館の更な利便性の向上や機能強化について検討してまいります。