国立西洋美術館・世界遺産見送り


台東区上野にある、建築家ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館本館を含む六カ国二十二件の建築作品について、文化庁は昨日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産への登録見送りを促す延期勧告を行なったと発表しました。

 

これで国内の世界遺産候補に延期勧告が出たのは、連続3年目だそうです。

 

昨年、世界遺産登録の推薦を受け、台東区といたしましても

東京で初めての世界遺産へ!!

様々な機会で、宣伝等おこない、また町方・行政一体となり活動を展開してまいりましたが、残念な結果が出てしまいました。

 

イコモスの評価として

(1)資産全体についての顕著な普遍的価値が証明しきれていない。

(2)コルビュジエの都市計画の代表例であるチャン・ディガール(インド)が含まれていないことなどの課題があり、資産全体の完全性が証明しきれていない。

(3)資産全体の真実性は証明しきれていない。また、個々の資産の真実性は概ね満たされているが、いくつかの資産については課題がある。

(4)いくつかの構成資産の範囲について再検討が必要である。また多くの、構成資産の緩衝地帯の範囲について再検討が必要である。

(5)比較研究は資産全体に記載を検討する上では不十分である。

(6)22の構成資産相互の関連性は、建築家(ル・コルビュジエ)のみであり、「連続性のある資産」の推薦(シリアル・ノミネーション)としてではなく、個々の建築物が顕著な普遍的価値を有しているか否かについて検討すべきものであると指摘。

 

以上のような評価が下され、今回世界遺産登録は見送られた。

 

いま、世界遺産の総数は、878件とのことですが、近年、ユネスコでは管理可能な規模とするため、新規記載遺産物を極力抑制する傾向にあり、イコモスによる新規推薦案件に関する審査も厳格化する傾向にあるそうです。

 

残念でした。本当に残念な結果となりましたが、今後もフランス政府を中心として、関係各国と協力し、理解が得られるよう努めていくとのことです。