党創立者「ジャパンタイムズ」寄稿パート2


前日に引き続き「復興への勇気」を掲載いたします

 

三つの「希望」

言葉を失う残酷な大災害であったが、私たちは大きく三つの「希望」を

見出している。

第1の「希望」は、世界との、また身近な地域での人間の連帯である。

大災害が起こるやいなや、世界中から迅速にして具体的な救援の手を

差し伸べていただいた感動は、決して忘れることはできない。

その真心に、私たちは感謝しても感謝しきれない。

一方、被災地では、より強固な共助の絆が生まれている。

大災害の試練に皆で立ち向かうなかで、思いやりや助け合いが光る

尊貴な人間共同体が創出されている。

決して一人きりで苦しむ人を出してはならない。

第2の「希望」は、被災者の不屈の勇気である。

私が言葉にできないほどの感動を覚えたのは、自らも被災しながら

他の人々の救援活動に行動されてきた友の献身的な姿である。

岩手県釜石市のある婦人は、荒れ狂う津波から隣人たちの命を救った。

アパートの2階にまでなだれ込んだ濁流の中、自らは空調設備につかまりながら

乳児を抱えて流されかける男性を背中で壁に押しつけ、片手でもう一人の隣人の

襟元をつかみ

「腕が引きちぎれても離すものか」と守り通したと伺った。

こうした幾千、幾万の無名の英雄たちが、家族や友人を失い、家や財産も

流されながらも屈することなく、今も不眠不休で、郷土の復興に奔走されているのだ。

各地で避難所になった私どもの会館でも、被災者の方々が、自らも悲哀や疲労を

抱えているにもかかわらず、進んで運営を担っておられた。

私たち創価学会も、大震災の直後から会館への避難者の受け入れをはじめ

救援活動に全力を挙げてきた。

現在は、特に宮城、岩手、福島の3県で、中長期の復興支援の態勢を固めている。

仏典には ”人のために灯をともせば、自分の前も明るくなる” と説かれる。

人のためにと行動を起こすことによって、自らの苦悩は前進へのエネルギーに変わる。

そこには、自他共の新たな明日を照らす希望の光が生まれる。

第3の「希望」は、行動する青年たちの熱と力である。

私の知る宮城県石巻市の青年は、大津波に飲み込まれながらも、松の木に一晩中

しがみついて九死に一生を得た。

配管工の彼は店も家も奪われたが、押しつぶされるような無力感を払いのけ

水回りの修理など、市内全域を駆けずり回って献身した。

荒れ野と化した街の、かつて自宅のあった場所に、仲間と廃材を使って打ち立てた

巨大な看板 「がんばろう!石巻」 は市民の心意気の一つのシンボルとなった。

青年は、その若さゆえに 「希望」 の当体である。

どんなに闇が深くても、青年が立ち上がるところ、そこから太陽は昇る。

復興への道は遠い。

しかし、このような勇気ある青年たちの姿に励まされながら、地域の方々と手を携え

被災地復興のため、前進していきたい。

どんなに地道であっても、その一歩から希望の種がまかれ、「心の財」が積まれるからだ。

「されど人は境遇に支配せらるる如き弱きものにあらず」

「願わくは悲哀の下に屈せずして悲哀の上に屹立せよ」

朝河貫一博士の言葉が、東北の人々の心意気を示している。

 

 

党創立者である

池田SGI会長

ジャパンタイムズに寄稿された全文を

ご紹介いたしました。